呼吸ケア関連論文リスト

医療関係の方へ COPD関係で最近掲載された論文のうち、目についたものを掲げています。

(赤色は新規掲載)

選定責任者 林

 

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呼吸リハビリについて

20

Santus P et.al. Improvements in Lung Diffusion Capacity following Pulmonary Rehabilitation in COPD with and without Ventilation Inhomogeneity. Respiration. 2016;92:295-307. (PMID27598467)

 

肺拡散能(DLCO)と換気不均一性がCOPD患者において、リハビリテーションでどのように変化するかを検討した。多施設共同の前向き観察研究で、患者は標準化された3週間の呼吸リハビリの前後で評価を受けた。患者は気流制限の重症度と換気不均一性の有無(VA/TLC<0.8で有り)で層別化された。250名の患者が評価を完遂したが、ベースラインの%FEV1は50.5 ± 20.1であり、137名が重症であった。全体での改善は6分間歩行距離で38 ± 55 m (p < 0.01)、 DLCOで0.12 ± 0.63 mmol /min/kPa (p < 0.01)であり、他の呼吸機能や息切れも改善した。気流制限の重症度や換気不均一性の有無にかかわららず、DLCOの改善が認められた。換気不均一性のある患者群では肺胞換気量(VA)の改善によってDLCOが改善したのに対し、換気不均一性のない患者群ではKCO(DLCO/VA)の改善によっていた。後者はベースラインにおける肺機能が前者よりも良く、6分間歩行距離の改善にも優っていた。DLCOが低いほど6分間歩行距離の改善に乏しかった。呼吸リハビリを受けるCOPD患者において、DLCOの改善に関与する機序には違いがあり、換気不均一性が運動耐容能の改善の制限因子になることが示唆された。

 

21

 Alma H et.al. Health status instruments for patients with COPD in pulmonary rehabilitation: defining a minimal clinically important difference. NPJ Prim Care Respir Med. 2016;26:16041.  (PMID27597571)

COPD患者において、CCQ、CAT、SGRQのMCIDを検討した。451名の患者に3週間の呼吸リハビリを行い複数の方法でMCIDの検討を行った。有意な改善と評価するにはCCQで0.40、CATで3.00、SGRQで7.00以上の変化が必要との結果をえた。既に使用されているMCIDはいずれも過小であり、COPD患者における治療効果を過剰評価する可能性があると考えられた。

 

22

Luk EK et.al. Effectiveness of cognitive behavioural therapy in a community-based pulmonary rehabilitation programme: A controlled clinical trial. J Rehabil Med. 2017; 49: 264-269. (PMID28150856)

認知行動療法を呼吸リハビリテーションに含めることが鬱と焦燥に作用し、リハビリテーションの結果を改善するかを、前向きに検討した。70名のCOPD患者が対象となった。これらの患者は呼吸リハビリ単独群と呼吸リハビリ+集団の認知行動療法の群に割り付けられた。認知行動療法を加えられた群のみでリハビリ後に運動能力の改善、疲労感、ストレス、鬱スコアの改善が認められた。コントロール群では有意な改善は認められなかった。

 

23

Horton EJ et.al. Comparison of a structured home-based rehabilitation programme with conventional supervised pulmonary rehabilitation: a randomised non-inferiority trial. Thorax. 2017 Jul 29. pii: thoraxjnl-2016-208506. doi: 10.1136/thoraxjnl-2016-208506. [Epub ahead of print] (PMID28756402)

通所呼吸リハビリテーションに対する在宅リハビリプログラムの非劣性を検討した前向き試験。287名のCOPD患者を無作為に割り付け、7週目のCRQの息切れ項目を主評価項目として、検討が行われた。在宅リハビリには効果はみとめたものの、通所リハビリに非劣性であることを示す十分な翔子は得られなかった。

 

24

Sahin H et.al. Effectiveness of pulmonary rehabilitation in COPD patients receiving long-term oxygen therapy. Clin Respir J. 2017 Aug 4. doi: 10.1111/crj.12680. [Epub ahead of print] (PMID28776954)

HOTを受けているCOPD患者とHOTを受けていない患者で呼吸リハビリテーションの効果を比較検討した。リハビリテーションは8週間の通院プログラムで行われた。61名の重症・最重症COPD患者の内27名がHOTを受け、34名はHOTを受けていなかった。呼吸リハビリ後、両群とも6分間歩行距離は有意に改善し、息切れは有意に軽減した。この改善はHOT群で非HOT群よりも有意に良かった。両群で疾患関連QOL、健康関連QOLの改善が得られた。焦燥と抑うつの状況も両群とも改善した。私達の結果からはHOT群患者は非HOT群に劣らず、リハビリテーションの効用があることが分かった。どの程度の低酸素血症を有する患者まで有効であるのかは今後の課題である。

 

25

Lalmolda C et.al. Effect of a rehabilitation-based chronic disease management program targeting severe COPD exacerbations on readmission patterns. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017; 12: 2531-2538 (PMID28883720)

COPD急性増悪後の管理において、在宅運動訓練を中心とした慢性疾患管理(CDM)プログラムを導入した場合の患者コンプライアンスの評価と同プログラムの再増悪への影響を検討した。COPD患者で重症急性増悪を生じた患者を本研究に組み入れた。介入群は退院後2ヵ月の間、看護師が直接指導するCDMプログラムに参加し、理学療法士から直接の運動療法指導を受け、その後も継続する運動療法の処方を指示された。非介入群患者は通常の管理を受けた。21名のCDMプログラム群のうち19名が同プログラムを実施でき、コンプライアンスは良好であった。プログラムをきちんと実施できた群では、退院後1年間の呼吸器疾患による入院回数および入院日数が非介入群よりも有意に少なかった。多変量解析の結果、CDMプログラムが急性増悪後の再増悪を減少させることが確認できた。

 

運動試験と訓練方法について
13

Liu WY et.al. Reproducibility and Validity of the 6-Minute Walk Test Using the Gait Real-Time Analysis Interactive Lab in Patients with COPD and Healthy Elderly. PLoS One. 2016;11:e0162444.   (PMID27607426)

 

Gait Real-time Analysis Interactive Lab (GRAIL) を用いた6分間歩行試験の再現性と有効性をCOPD患者と健常人で確認した。

 

14

Bernabeu-Mora R et.al. The accuracy with which the 5 times sit-to-stand test, versus gait speed, can identify poor exercise tolerance in patients with COPD: A cross-sectional study. Medicine (Baltimore). 2016; 95: e4740.  (PMID27583918)

 

137名の安定したCOPD患者を対象とした横断研究である。4m歩行速度と5回起立着座反復試験が6分間歩行試験で測定される運動耐容能の低下を診断できるかを検討し、5回起立着座反復試験が運動耐容能低下の予測に有用であった。

 

15

Cirio S et.al. Effects of heated and humidified high flow gases during high-intensity constant-load exercise on severe COPD patients with ventilatory limitation. Respir Med. 2016;118:128-32. (PMID27578482)

安定期にある重症COPD患者の持久力に経鼻高流量酸素吸入が与える効果について検討をした。自転車エルゴメーターを用い漸増負荷試験の最高負荷量の75%の負荷で定量式運動負荷試験を行った。経鼻高流量酸素吸入群とコントロール群では前者で有意に持続時間が高かった。開始後同時刻での比較では酸素飽和度、息切れの強さ、下肢疲労感とも経鼻高流量酸素吸入群で良好であった。呼吸リハビリプログラムの運動療法で経鼻高流量酸素使用が有用かもしれない。

 

16

Tabberer M et.al. Development of a Conceptual Model of Disease Progression for Use in Economic Modeling of Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Med Decis Making. 2016 Aug 2. pii: 0272989X16662009. [Epub ahead of print]. (PMID27486218)

COPDの進展予後に関与する因子を結びつけた概念的モデルの作成を試みた。さらに、作成した概念的モデルをECLIPSE試験データに適応して検証をおこなった。最終的な概念モデルでは病変進行に寄与する因子として、急性増悪の発生歴、呼吸機能、運動耐容能、症状(咳嗽、喀痰、息切れ)、心血管系合併症、うつを含む他の合併症、体組成、フィブリノーゲン、喫煙状態、年齢、性別が含まれる。死亡率とHRQOLがこの概念的モデルでもっとも適切なoutcomeであり、COPDの経済的モデルの土台としても重要であると考えられた。

 

17

de Castro LA et.al. Static and Functional Balance in Individuals With COPD: Comparison With Healthy Controls and Differences According to Sex and Disease Severity. Respir Care. 2016; 61: 1488-1496. (PMID27484106)

47名のCOPD患者と25名の健常人で静的および動的バランスの比較を行った。静的バランスは片脚立位で、動的バランスはTUGで測定した。健常人とくらべCOPD患者では静的バランス、動的バランスとも劣っていた。COPD患者群では男性の方が女性よりもTUGの成績は良好であったが、静的バランスは女性で優れていた。病変の重症度はいずれのバランス指標にも影響を与えなかった。

 

18

Wakabayashi R et.al. Effectiveness of home-based exercise in older patients with advanced chronic obstructive pulmonary disease: A 3-year cohort study. Geriatr Gerontol Int. 2017 Aug 1. doi: 10.1111/ggi.13134. [Epub ahead of print] (PMID28762596)

長期間酸素療法を実施中の老年進行期COPD患者に在宅運動療法が有効かを検討した。予めCOPDの自己管理についての教育を施してきた患者を3年間の前向き研究に組み入れた。自宅に自転車エルゴメーターを設置して在宅運動療法を行うか(E群)通常の運動のみをおこなうか(U群)を患者に選択してもらった。E群は72名、U群は64名であった。全患者の平均年齢は74.2歳、LINQスコアは3年間の研究期間中E群で有意に改善した。6分間歩行距離はE群では維持されたが、U群では有意に減少した。%FEV1は当初E群でU群より低値であったが、3年間維持された。一方、U群では有意に低下した。BMI,気流制限、息切れ、運動指数は両群とも3年間の間に有意に低下した。急性増悪の回数はE群でU群よりも有意に少なかった。

身体活動性について
8

Yu T, et.al. Determinants of Physical Activity in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A 5-Year Prospective Follow-Up Study. Respiration. 2016 Jul 13. [Epub ahead of print]. (PMID27404667)

409名のCOPD患者を身体活動性を中心に最高5年間経過を追った。身体活動性はLAPAQという質問票を用いて6ヵ月毎に測定された。COPD患者の身体活動性は6ヵ月毎に低下をしていた。多変量解析の結果、観察開始時に評価した項目で身体活動性の低下と独立して関連していたものは、運動耐容能低下、高齢、仕事を有していること、より喫煙歴が高いこと、倦怠感を感じていること、男性、低教育水準、Fitness programに参加してことがない、うつ傾向、肺機能が低いこと、全身の状態が悪いこと,処方薬剤数が多いこと、であった。

 

9

Dueñas-Espín I, et.al. Depression symptoms reduce physical activity in COPD patients: a prospective multicenter study. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016; 11: 1287-95. (PMID27354787)

COPD患者220名を対象とした欧州5カ国での多施設共同前向き研究。ベースラインのHADSうつスコアは6ヵ月後の身体活動性に負の影響をおよぼした。

 

10

Boeselt T, et.al. Validity and Usability of Physical Activity Monitoring in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD). PLoS One. 2016 Jun 15;11(6):e0157229. doi: 10.1371/journal.pone.0157229. eCollection 2016.(PMID27305105)

低コストの身体活動計Polar A300の有効性と有用性を検討した。Polar A300は既に有効性が示されているBodymedia社のSenseWareに劣らなかった。低価格の身体活動計を多用して患者さんの活動性を評価すべきであると考える。(廉価版の身体活動量計使用して論文を書く時の参考になると思います。)

 

11

 

Esteban C, et.al. One-year Mortality in COPD After an Exacerbation: The Effect of Physical Activity Changes During the Event. COPD. 2016 Jun 10:1-8. [Epub ahead of print]. (PMID27285279) 

COPD患者2484名を対象とした前向き観察研究。急性増悪前後の身体活動性の低下が1年生存率に影響するかについて検討した。急性増悪前と比較して増悪2月後の身体活動性が低下することは、1年生存率低下の独立した危険因子であった。

 

12

Demeyer H, et.al. Physical Activity Characteristics across GOLD Quadrants Depend on the Questionnaire Used. PLoS One. 2016 Mar 14;11(3):e0151255. doi: 10.1371/journal.pone.0151255. eCollection 2016. (PMID26974332)

136名のCOPD患者を対象に5つの欧州の施設で調査を行った。身体活動性は活動量計を用いて実測された。季節性の変動を避けるために6か月間隔で2回測定し、その平均を用いた。GOLD A群とB群、C群とD群を分けるもととなる症状についてはmMRC,CAT,CCQを評価した。
GOLD 75名がC群もしくはD群に分類されたが、その根拠は気流制限所見のみ25名、急性増悪歴のみ25名、気流制限所見+急性増悪歴25名であった。C+D群の平均1日歩行数はA+B群に比べて有意に低値であった。A群とB群、C群とD群の分類は用いる質問票によって患者の分布が異なった。一致率を表すκ値はmMRCとCATで0.57, CCQとmMRCで0.71、CCQとCATで0.72であった。症状の指標をどれにするかにより、臨床的な所見の特徴にも差があった。身体活動性はmMRCを用いて分類した場合に特にB群、D群で有意に低値であった。

 

13

Demeyer H, et.al. Can health status questionnaires be used as a measure of physical activity in COPD patients? Eur Respir J. 2016;47:1565-8 (PMID26917609)

COPD評価において質問票による評価はスクリーニングとしてあるが、評価の中には身体活動性についての直接的な評価が組み込まれるべきである。(Letter to Editor)

 

14

Esteban C, et.al. Determinants of change in physical activity during moderate-to-severe COPD exacerbation. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016;11:251-61.(PMID26893555)

前向き研究で、急性増悪による身体活動性の変化の程度とその規定因子の検討を行った。身体活動性の変化には大きなバラツキがあった。変化の規定因子として、急性増悪に関連した因子(入院24時間後の身体活動性、入院中の使用薬剤、入院期間)および安定期の状態を反映する因子(元来の低い身体活動性、年齢、QOL,1秒率)があげられた。

 

15

Gimeno-Santos E, et.al. Determinants and outcomes of physical activity in patients with COPD: a systematic review. Thorax. 2014; 69: 731-9. (PMID24558112)

2012年11月までに発表されたCOPDにおける身体活動性低下の要因などについての報告のシステマティックレビュー。86の研究があり、うち59は身体活動性低下の決定因子、23は身体活動性低下の影響、4つは双方についてのものであった。身体活動性低下の要因としては、過膨張、運動耐容能低下、呼吸困難、急性増悪既往、ガス交換能、全身炎症、QOLの影響、自己効力感が、一定して関与していたが、しばしば横断的な研究に基づく報告であり、エビデンスの質は低いものである。薬物療法および非薬物療法の効果についての報告は、結果が一定せず、エビデンスの質は極めて低い。予後についてであるが、COPD急性増悪や死亡率は一貫して身体活動性の低下との関連が報告され、エビデンスの質は中等度である。身体活動性低下は結果として、息切れ増強、QOL低下、運動能力低下、1秒量の低下とも結びつくが、横断研究に基づく報告であり、エビデンスの質は極めて低い〜低い程度である。身体活動性低下の影響については検討が十分なされているが、治療の効果を含めて、身体活動性低下の決定因子の研究はまだまだである。

 

注:本論文のFigure 4はCOPDにおける身体活動性の位置づけについて模式化したもので、しばしば発表に引用されています。

 

16

Lahham A, et.al. Exercise training alone or with the addition of activity counseling improves physical activity levels in COPD: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Dec 8;11:3121-3136. eCollection 2016. (PMID27994451)

COPD患者の身体活動性を向上させる介入の効果についてシステマティックレビューを行った。37のRCTで4,314名の患者が対象とされていた。1秒量の予測値比は50.5±10.4%であった。介入は運動療法の組み入れが3研究で103名を対象としておこなわれており、標準的なケアと比べて身体活動性を増加させていた。さらに、呼吸リハビリテーション単独よりも活動性についてのカウンセリングを加えることによって身体活動性には大きな向上が認められた(4研究、対象者140名)。これによりMIDを越える有意な1日歩数の改善が認められた。COPDの身体活動性向上戦略の為には呼吸リハビリテーションに運動療法と身体活動性についてのカウンセリングをふくむことが重要である。

 

急性増悪について
1

Hartl S, et.al. Risk of death and readmission of hospital-admitted COPD exacerbations: European COPD Audit. Eur Respir J. 2016;47:113-21.  (PMID26493806)

COPD急性増悪入院の実態と予後因子について、欧州における調査結果。入院患者のうち、スパイロメトリーを実施された患者は49.7%、動脈血ガス評価を実施された患者は81.6%にすぎなかった。高齢、アシドーシスを伴った呼吸不全、人工呼吸管理、合併症の存在が、死亡リスクと関連していた。加えて、90日後の再入院のリスクとして入院治療の既往が挙げられた。医療供給体制側の因子としては、唯一病床あたりの呼吸器専門医の数が、退院後の死亡率と関連していた。 

 

Wedzicha JA, et al. Prevention of COPD exacerbations:a European Respiratory Society/American Thoracic Society guideline. Eur Respir J 2017; 50: 1602265(PMIDなし)

 

COPDの急性増悪予防の為の5つ方策について評価。

  急性増悪の予防の為に

1) 喀痰融解剤を用いるべきか? ⇒ Yes NAC, アンブロキソール, カルボシステイン

2) LABAとLAMAどちらが優れているか? ⇒ LAMA

3) 慢性気管支炎タイプのCOPDにロフミラストは有効か? ⇒ 気流制限が重症、極めて重症な患者では使用を推奨する。

4) 安定期COPDにフルオロキノロンを使用すべきか ⇒ NO

 

5) 安定期COPDに少量マクロライドの持続投与法は ⇒ YES

 

3

Lahousse L, et.al. Epidemiology and impact of chronic bronchitis in chronic obstructive pulmonary disease. Eur Respir J. 2017 Aug 10;50(2). pii: 1602470. doi: 10.1183/13993003.02470-2016 (PMID28306321)

COPD急性増悪と慢性気管支炎の関連については報告が一致していない。また、COPD患者の死亡率に対する慢性気管支炎の影響は不明である。本研究はロッテルダム研究の一部分として、45歳以上の対象者について、実施された。慢性気管支炎は2年以上にわたって3年以上湿性咳嗽を有するものと定義された。972名のCOPD患者の内、752名は慢性の膿性痰喀出を有さず(CBなし)、220名が有していた。そのうち172名が慢性気管支炎の基準を満たしていた(CBあり)。CB群はより高齢であり、現喫煙率が高く、喫煙歴も大であった。中央値6.5年の観察期間のうち、CB群の方が大きい呼吸機能低下をしめした。CB群は急性増悪率が高かった (OR 4.0, 95% CI 2.7-5.9; p<0.001)。女性ではCB群の方が有意に生命予後が不良であった。原因別死亡をみると、CB群患者は呼吸器系疾患による死亡が有意に高かった (hazard ratio 2.16, 95% CI 1.12-4.17; p=0.002)。

 

4

Yang F, et.al. Continuity of Care to Prevent Readmissions for Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. COPD. 2017; 14: 251-261. (PMID28326901)

COPD急性増悪入院後の継続した患者管理介入の効果についてシステマティックレビューをおこなった。2015年7月までの論文を検索して、31のRCTを対象とした。患者に対する健康教育は3ヵ月後の全原因再入院率を減少させた。健康教育、包括的な看護介入、遠隔モニタリングはそれぞれ6-12ヵ月後までの全原因再入院率 を減少させた。包括的な看護介入はCOPDに特異的な再入院率も低下させており、その中では最良と考えられた。家庭への訪問もCOPDに特異的な再入院率を減少させたが、全原因再入院率は減少させなかった。死亡率とQOLへの効果についてはこれらの介入の間に統計学的に有意な相違は無かった。結論として、COPD患者の継続的な管理を検討するにあたり、包括的看護介入、遠隔モニタリング、健康教育、家庭への訪問はケア実施者による他の介入よりも重要視されるべきである。

 

5

Wedzicha JA, et.al. Management of COPD exacerbations: a European Respiratory Society/American Thoracic Society guideline. Eur Respir J. 2017 Mar 15;49(3). pii: 1600791. doi: 10.1183/13993003.00791-2016. Print 2017 Mar. (PMID28298398)

経口ステロイドは外来で治療できる軽症急性増悪患者に使用されるべきか

知見:9-14日間の経口ステロイドは呼吸機能を改善させ、爾後の入院率を減少させる。治療失敗、死亡率増加、副作用発現増強については明確な報告はない。

推奨:COPD急性増悪でwalk inの患者に対しては14日以内の経口ステロイド使用を推奨する。(条件付き推奨、極めて低い質エビデンス)

 

Walk inのCOPD急性増悪患者に抗菌薬は投与されるべきか

知見:抗菌薬の投与は治療失敗率を低下させ、次回の急性増悪までの期間を延長する。ただ、プラセボ投与でも半数以上の患者が治療失敗をのがれるとの報告もあり、全ての急性増悪患者が抗菌薬を必要としないことも銘記されるべきである。今後さらに実臨床での効果を検証する試験が必要である。

推奨:COPD急性増悪でWalk in受診の患者には抗生物質を投与することを推奨する(条件付き推奨、中程度の質のエビデンス)。抗菌薬の選択は地域の薬剤感受性パターンに従う。

 

COPD急性増悪で入院した患者に対してステロイドの投与は経静脈的と経口どちらがよいか

知見:治療失敗率、再入院率、入院期間に関しては経口投与と経静脈投与で有意差はない。しかし、経静脈投与で副作用のリスクはより高い可能性が示されている。死亡率については十分検討できるほどの報告例がない。そのほかの点でも一方の投与法が優れていることを結論づけるには不十分なエビデンスしかなく、今後利点と欠点を検討する十分なパワーの非劣性試験の実施が望まれる。

推奨:COPD急性増悪で入院した患者に対して可能な限り経静脈的ではなく経口でステロイドを投与することが推奨される。(条件付き推奨、弱い質のエビデンス)

 

慢性呼吸不全の急性増悪を伴った患者にNIVを使用するべきか

知見:NIVの使用は気管挿管の必要性、死亡率、治療合併症、入院期間、ICU滞在時間を減少させる。

推奨:COPD急性増悪でⅡ型呼吸不全となった入院患者にはNIVの使用を推奨する(強い推奨、低い質のエビデンス)

 

COPD急性増悪患者に対し在宅管理プログラム(いわゆるHospital at Home)は実施されるべきか

知見:適切に選ばれた患者に対する在宅管理プログラムは入院を減らし、退院する患者の安全性を向上させる。患者の選択基準や在宅管理プログラムに必須の要素の選択に関しては今後に課題が残る。

推奨:COPD急性増悪で入院した患者には在宅管理プログラムの導入が望まれる。(条件付き推奨、中等度の質のエビデンス)

 

COPD急性増悪で入院した患者に呼吸リハビリテーションは実施されるべきか

知見:入院中に実施された呼吸リハビリテーションは死亡率を増加させる。退院後3週間以内に開始された呼吸リハビリテーションは再入院率を減らし、QOLを改善する。退院後8週間以内に開始された呼吸リハビリテーションは運動耐容能を増加させる。

推奨:COPD急性増悪で入院した患者に対しては退院後3週間以内に呼吸リハビリテーションを開始することを推奨する。(条件付き推奨、極めて低い質のエビデンス)COPD急性増悪で入院した患者に対しては入院中には呼吸リハビリテーションを開始しないことを推奨する。(条件付き推奨、極めて質の低いエビデンス)

 

紹介者のコメント

急性増悪入院患者に対するのリハビリの可否については、欧米と本邦で実施されているリハビリテーションの違いも考慮して考えられるべきです。本邦での介入、非介入の効果についての質の高い報告が望まれます。

サルコペニアについて
1

Jones SE, et.al. Sarcopenia in COPD: prevalence, clinical correlates and response to pulmonary rehabilitation. Thorax. 2015;70:213-8. (PMID25561517)

 

2

Yosef-Brauner O, et.al. Effect of physical therapy on muscle strength, respiratory muscles and functional parameters in patients with intensive care unit-acquired weakness. Clin Respir J 2015; 9: 1-6. (PMID24345055)

ICUにて人工呼吸管理を受けた患者を2群に分け(一群9名)、理学療法介入を1回/日もしくは2回/日で行った。2回/日群の方が、MIPとMRC physical strength examinationの改善が良好であった。また、ICU滞在期間も有意に短かった。

 

 

 
COPDの自然経過・予後について
1

Zaigham S, et.al. Lung function, forced expiratory volume in 1 s decline and COPD hospitalisations over 44 years of follow-up. Eur Respir J. 2016;47:742-50. (PMID26647443)

1914年生まれの男性689名を対象に55歳時にスパイロメトリーを実施。その後の経過を44年間観察した研究。55歳時の1秒率軽度低下者でも将来のCOPD入院リスクが明らかに高いことが示された。(無症状の患者を早期に発見した際にその後の呼吸機能の経過を見ることが重要であることを示唆する研究と思います。)

 

2

Woodruff PG, et.al. Clinical Significance of Symptoms in Smokers with Preserved Pulmonary Function. N Engl J Med. 2016;374:1811-21. (PMID27168432)

健常非喫煙者199名、既往・現喫煙者で呼吸機能正常かつCAT10点未満424名、既往・現喫煙者で呼吸機能正常かつCAT10点以上425名、COPDステージ1/2でCAT10点未満337名、COPDステージ1/2でCAT10点以上626名で比較した。急性増悪の発症率は既往・現喫煙者で呼吸機能正常かつCAT10点以上の群でも健常非喫煙者、既往・現喫煙者で呼吸機能正常かつCAT10点未満の群、およびCOPDステージ1/2でCAT10点未満の群よりも高かった。(喫煙による気道障害の患者さんを扱うのに自覚症状の重要性を明らかにした報告です。気管支拡張薬使用後の1秒率70%という判断基準はあくまでも人工的なものです。CATをきちんととりながら、方向性をよくよく考える必要がありそうです。)